印刷物に使用する用紙は、その用途により多種多様な品種の中から選ばれます。
色再現に優れた用紙や、筆記性が良いもの、用紙自体に特徴があるものなど様々です。
下記はその中でも特に使用頻度が高い品種の一例になります。

コート紙

両面にコート剤を塗布したツヤのある用紙です。
微光沢があるのが特徴で、彩度の高いカラー印刷や写真などの色再現に向いており、一般的な商業印刷に広く用いられています。
筆記性には注意が必要で、鉛筆やボールペンなどの書き込みには向いていません。

マットコート紙

コート紙と比べると光沢がなく、落ち着いた雰囲気の用紙です。
発色はコート紙と同等ですが、光沢がない分ソフトで読みやすい印刷物に仕上がります。
しっとりとした質感が特徴で、筆記性も問題ありません。

上質紙

一般的なコピー用紙と同じような質感の用紙です。
光を反射しないため読みやすく、書籍など文字を主体とした印刷物に広く使用されています。
コーティングが施されていないので多少インキのにじみがあり、インキを多量に使用するデザインには不向きですが、 筆記性にとても優れています。

アートポスト

コート紙を厚くした用紙で、しっかりとした厚みがあります。
コート紙が厚さ135kg/連(四六版)までであるのに対し、アートポストは160kg/連(四六版)〜の厚みがあります。 両面にコート剤が塗布してあり、なめらかな光沢があります。
ポストカードやダイレクトメール、高級カタログなどの定番として使用されます。

マットポスト

アートポストのマットタイプになります。
アートポストと比べ光沢がなく、しっとりとした質感になります。
可読性も高く、落ち着いた高級感のあるイメージに仕上がります。

キャストコート

加工を施された面に鏡のような強い光沢がある高平滑な用紙です。
商標としての「ミラーコート(王子製紙)」や「エスプリコート(日本製紙)」などが有名です。
高平滑であることからインキの定着に優れ、色再現性が高く、加工面そのものに高級感があることから、高級印刷用紙の位置づけになります。
「表面:キャストコート/裏面:上質紙」のものや、「表面:キャストコート/裏面:コート紙」といった様々なラインナップがあります。

レザック

表面に革(レザー)のようなエンボス模様が施してある用紙で、装飾性のあるファンシーペーパー類の代表的な 品種です。
色の種類も豊富で、冊子の表紙や便箋の装丁、案内状などに使用されます。

五感紙

細かなエンボス模様が施されたファンシーペーパーです。
色や厚さの種類が豊富で、エンボス調も荒目や細目などのラインナップがあります。質感をそのまま活かしたカードや案内状などに使用されます。

現在日本で使用されている一般的な紙のサイズには「A列」や「B列」といった系統があり、仕上寸法によりA4やB5などと呼ばれたりします。
このようなサイズの表記はJIS規格で定められたもので、「A4」を例にとると「A」が規格で「4」が大きさに該当します。

A列(mm)
【A0】1,189mm×841mm
【A1】 841mm×594mm
【官製ハガキ】 100mm×148mm
B列(mm)
【B0】1,456mm×1,030mm
【B1】 1,030mm×728mm

印刷業界では、紙の厚さに相当する単位として「連量:kg」が使用されています。
「連(れん)」とは、同一サイズの紙1,000枚を示す単位で、さらに「連」あたりの重さ(kg)が紙の厚さを示す単位となります。
※一般的には『四六判』と呼ばれる原紙(788mm×1,091mm)の連量(kg)で表す場合が多いです。

封筒は形状により「長形」「角形」「洋形」の規格に大別されます。
「長形」「角形」は和封筒とも呼ばれ、その中でも「長形3号(ながさん)」や「角形2号(かくに)」などは ビジネスシーンでの使用頻度が高く、定番のサイズとなっております。
「洋形」は縦横の寸法の長い方に封入口がある封筒で、案内状の送付やDMなどによく使われる封筒です。
下記は各形状の封筒サイズの一例になります。

定型封筒

定型郵便物として送る事が出来るサイズの封筒で、内容物による重量、 厚みの条件を満たせば82円切手(または92円切手)で送る事ができます。

定型郵便物の条件
長さ/140〜235mm 幅/90〜120mm 厚さ/10mm以内
重さ/25g以内(82円)・50g以内(92円)
※長型3号や洋形0号が定型郵便物の最大サイズです。

のり付き封筒

封入作業に便利な「のり付き封筒」もございます。
簡単できれいに封が出来るので封入作業がはかどり、内容物もしっかり保護します。

紙を用途に合わせて様々な形に折る事で、印刷物をコンパクトに仕上げる事ができます。
折り加工をすることにより一枚の紙にページの概念が生まれますので、それぞれのコンテンツの情報を読みやすく分かりやすく伝える事が出来ます。

代表的な折り加工例

書籍、カタログ・パンフレットのように印刷物を「本」の形に仕上げる加工を製本といいます。
用途やページ数により製本の仕方は様々で、一般的な「並製本」と呼ばれるものには、「中とじ」「無線とじ」「天のり」などの種類があります。

中とじ
本文と表紙をホッチキスで一緒に綴じる製本です。パンフレットや雑誌など、 厚みの少ない本に用いられます。
パンフレット・雑誌・薄型のマニュアル・取扱説明書・会報・情報誌など
無線とじ
本文の背の部分を削ってのり付けをし、さらに表紙でくるんで接合する製本です。 厚みにも耐えられるため、ページ数の多い冊子などに用いられます。
文庫本・記念誌・作品集・手帳・ページ数の多いカタログ、パンフレットなど
天のり
メモ帳や伝票などのように、用紙を1枚ずつ切り取って使用できるようにした製本です。
伝票類・メモ用紙・レポート用紙など

印刷物の仕上加工は、見た目や質感、デザイン性を高めるための加工や、使いやすさを向上させるもの、また耐久性や保存性を高めるものなどというように、印刷物の目的により様々な種類があります。
下記は仕上加工の一例になります。

PP加工

紙の表面に薄いフィルム(ポリプロピレンフィルム)を熱圧着することで光沢感や高級感を出したり、 保存性を向上させたりする仕上加工です。
片面だけの加工も可能なので、会社案内や製品パンフレットの表紙などに用いられます。 ポリプロピレンフィルムには、光沢のある「クリアPP」や、落ち着いた質感の「マットPP」などがあります。

ラミネート(パウチ)加工

紙をフィルム(ポリエチレンフィルム)で両面から密封し熱圧着します。
フチを付けた状態で両面から張り合わせるため、耐久性や防湿性に優れ、印刷物をしっかり保護します。
飲食店のメニュー等でよく用いられ、ラミネート加工した後にスジ押し加工や製本まで仕上げることも可能です。

型抜き加工

抜き型を押し当てる事で印刷物を任意の形にくり抜く加工です。
円形やハート形など、絵柄に沿って平面に型を抜く事ができます。
また、くり抜く際に同時に折りスジを入れる事で、箱形状などの立体物の作成も可能になります。

ミシン線・スジ入れ加工

ミシン線はチケット・クーポン類や伝票関係、申込書などでよく利用される加工で、 紙を容易に切り離しできる様に、ミシン目を入れていきます。
スジ入れはスタンプカードなどのように、折って使用する印刷物に利用される加工で、 手で折りやすい様にあらかじめ折り目スジを入れる加工です。